タベルナクル額縁の流れを汲む箱型額縁

大掛かりな祭壇画や絵画と一体になった画枠などから時代と共に進化を遂げていった額縁も16世紀になると現代のそれと形態上あまり変わらない箱型額縁へと姿をかえていきました。そうはいうものの、独立していろいろな作品を収めその絵画を引き立たせるべくこの箱型額縁も独自の芸術性を高めていったことはそれまでの額縁と変わりはありません。よくこの箱型額縁と袂を分かつ存在であるtabernacle(タベルナクル)額縁のような古代建築を模した額縁は、どちらかと言うと収める絵画を選ぶのと引きかえ、オーソドックスな形態の箱型額縁は汎用性という意味では優れていたと言えるでしょう。このように何かと比較される両額縁ですが、中には一方から派生したと思えるような額縁も現存しており、その移行を探るよい例ともなっています。

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