洋美術にみられる装飾的な額縁様式の源流は、ローマ時代まで遡ると言われています。古代建築様式(例えば、神殿の扉や窓枠などの飾り、柱形状など)さながらのものが初期の額縁の多く見られることからも一目瞭然と言っていいかもしれません。もともと中心となる美術自体が古代のギリシャ建築様式にオリエントなどいくつかの様式を混在させたもとであり、これは聖堂建築にその様子がみてとれます。このころの画枠自体が建築でつかわれているような彫刻様式を流用していることから、これも自然の流れと言えるでしょう。額縁の発祥は建築物の延長に存在していたからに他なりません。ということはその当時の額縁様式の変遷を考えるとき、当時の建築様式を調べていくのが一つの手段であることは間違いなさそうです。