おそらく職人にするイメージは、「非常に頭が固い」とか「自分の分野以外に全く関心がない」という人がほとんどでしょう。
自分の技術のみに執着し、売れるものを作るということではなく、自分の作りたいものを作りそれが売れる、という印象が少なからずあるのではないかと思います。

しかしながら、エルメスでは新製品を開発するにあたり、販売担当者やデザイナーのみならず職人もが一同に介し、販売担当者が売れると思うもの、デザイナーが作りたいもの、だけではなく職人が実際に作れるかどうか、を考えながら新製品を考えます。
こうしたことは当然と思われるかもしれませんが、なかなかうまくいくことは多くありません。

なぜかというと一般的に大きな企業になればなるほど、縦割り化が進み職人とデザイナーのあいだに軋轢が生じ、互いに交流が少なくなり、作った製品が売れないのは他の人たちのせいだと責任を押し付け合うことが多いからです。
そのため円滑なコミュニケーションが困難になり、良い商品が作れなくなり、 さらに商品が売れなくなって行きます。

しかしエルメスではこのようなことはありません。
販売担当者デザイナー職人の関係が大変良好だと言われています。
職人は自分が自信をもって市場に流せる商品を作り、それを販売した販売担当者がお客の声を職人に伝えます。
そしてそれを真摯に受け止め、新しい製品に反映させていきます。
これをずっと繰り返してきたからです。

それぞれの立場の関係者が互いに尊重し合い、常にどういった商品が顧客に求められているかということを考え、顧客目線で商品を作り続けてきたことが、現在のエルメスを形作ったと言えます。